day7 絵が無くなった!Happening day.

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アメリカで人気のインヌン、in and outを体験。

その日、生で仕入れた肉や野菜だけで作らられたバーガー。売り切れたら終わりというスタンスのバーガー店らしい。

 

そう聞いて、日本のフレッシュネスバーガーあたりを想像して行くと、全然違って、もっとファストフード風なような?

でも、メニューがシンプル。

バーガー、チーズバーガーとダブルバーガーとポテトしかない!ことに驚く。

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こってり食べごたえのあるランチをイメージしていたら、意外とずしんと来ない。もう一個食べたいくらいの気分。

特にバンズのカリカリ具合が絶妙で、フライドポテトは四辺の角が立っていてこだわりの讃岐うどんのような風貌。

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とっても美味しかった。また行きたくなる味、

と言うのは本当だと思った。

店内を見渡してみると、さまざまな年齢層の人がひとときを過ごしている。お昼どきのアメリカ。
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食事の後は、画材屋さんに行ってみる。

サンディエゴのダウンタウン、リトルイタリーにある

BL I CK。画材屋に行くとその土地での生活のイメージがにわかに沸き始める。もっと若く、家族がない時にこの土地に来ていたら、ここに住んでみたいと思うのだろうか?ふと考えてみる。

と同時にパリにどうしても住みたいと思い住んでみた一年を思い出す。

家族がいて、子どもがいる、という現実感にまさるものは今は何もない、とあらためて思う。

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リトルイタリーの前の港で絵を描くことにする。家族と分かれて、描けそうな場所を探す。海からの西日が強く差し込んで、薄ピンクの建物に椰子が淡い影を落とす。その影の造形を描いてみることにする。椰子の木も画面の端に入れるか迷ったけど、影だけを描くことにする。

前日までの雨で芝生はまだ濡れている。コンクリートの場所を見つけ、絵の具を広げる。

 

描いていると向こうからウエディングドレスとタキシード姿の二人が現れ、建物の正面で写真を撮り始めた。

ああ、この薄ピンクの建物は市役所なんだな。市役所に婚姻届を出してその場に親戚一同も集まり結婚の儀とする様子はフランスでも何度か見かけた。

 

ふと気づくと花嫁たちが私の真後ろに立って撮影を始めた。

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え!描いてるのに〜と思いつつ少し離れてみる。カメラマンは私に気にせずシャッターを切っているから、引き続き描いていると、今度は神父さんらしき人が現れた。

「ここで今からセレモニーがはじまるけど、別にいいんだけど、人がもうすぐいっぱい来るよ」と笑いながら言う。

「Ahhhh!」と、早々に絵の具をたたんで退散する。別棟に出来た影に移動して描くことにする。

間も無く、正装した家族のみなさんが現れ、ウエディングセレモニーが始まった。よく見ると私が描いていたところはブーゲンビリアのアーチで作られた祭壇だった。とんだお邪魔虫である。

そんなこんなしていると、早くも陽が陰ってきてしまった。日没が迫っている。こちらの日没は16時40分と日本より早い。

 

まあ、今日はこのくらいで切り上げるか、と片付けはじめた時には体が冷え切っていた。車まで戻り、家族に電話を掛けて所在を確認する。二人は向かいの港に停泊している船の中にあるみやげもの売り場を見物しているとのこと。

すぐに合流できて、車の中で寒さをしのぐ。

子どものオムツを替えたり上着を着せたりして、よし出発!夫の日本時間のミーティングの時間が迫っていた。家路を急ぐ矢先、あ!

絵が無い。

すぐに元のパーキングに戻ってもらう。

夫は車の中でミーティングすることにして、私は絵を探す。

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車を止めていた気がする場所には他の車か止まっていた。車の下を覗いていると、中から声をかけて来てくれたのは多分インド人。

「なにか無くしたの?え?スケッチブック?」

「え!?知ってるの?」

「いや、知らないけど、Do you speak Japanese?」

「え?yes」

「ワタシノナマエハ!ハマダです。」

と言ってインド人のような日本語の彼は、車を少し後ろに動かしてくれた。

なんて親切な人との不思議な出会い!そして絵がそこにあれば、ハッピーエンド!だが、現実はちがう。

お礼を言って、その場を離れる。

 

 

日没も過ぎて辺りはめっきり暗くなってきた。絵が見つからない心細さが募る。

ふと、抱っこしている2才の息子が何か言っいる。小さな、小さな声で

「・・・がんばってー・・・」

異国での母の心境が伝わったようだ。

それでも、あきらめきれず、車が通った道をもう一度歩くと、三車線の中央分離帯に何か・・・もしかして、あれは!

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車に轢かれないように注意深く近づいてみる。

すると、それは、まさにずたずたに轢かれて時空を超えてやって来たかのような、私の絵だった。

確かに私の絵だ。

「・・・あったねー・・・」息子が耳元で囁く。

 

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かくして、絵は無事見つかった。

ずいぶんな姿だけど、描いていてなにか掴んだ気がした絵だった。だから手元に戻って本当に嬉しい。

 

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Thank you my son.